添付文書 【ラパリムス錠1mg,顆粒0.2%】18. 薬効薬理
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【ラパリムス錠1mg,顆粒0.2%】
18. 薬効薬理
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18.1 作用機序
18.1.1 本剤は、LAMでみられるmTORの恒常的な活性化を阻害することによって、LAM平滑筋様細胞増殖シグナル伝達を阻害し、細胞周期のG0/G1からS期への進行を抑制することで細胞増殖を抑制すると考えられている 26)~28)。
18.1.2 本剤は、脈管異常でみられるPI3K/AKT/mTOR経路の異常活性を抑制することによって、リンパ管内皮細胞の増殖・遊走抑制作用、血管内皮細胞増殖因子の発現抑制及びp70S6 kinaseのリン酸化抑制作用を示すと考えられた 29),30)。
18.2 脈管形成・細胞増殖・遊走の抑制作用
18.2.1 本剤は、 in vitro試験において、LAM患者から採取したLAM平滑筋様細胞の増殖を抑制した 26)。
18.2.2 本剤は、マウスLAMモデルにおいて、肺組織の破壊及び肺胞空胞面積の拡大を抑制した 31)。
18.2.3 LAM細胞又はTSC遺伝子欠損細胞では、VEGFや肺組織破壊、嚢胞形成を促すマトリックスメタロプロテアーゼが増加するが、本剤はLAM細胞又はTSC遺伝子欠損細胞におけるVEGF及びマトリックスメタロプロテアーゼの増加を抑制した 4),31)。
18.2.4 本剤は、 in vitro試験において、ヒト皮膚微小血管内皮細胞の構成細胞であるリンパ管内皮細胞、ヒトリンパ管奇形患者由来のリンパ管内皮細胞及びマウスの血管内皮腫細胞の増殖を濃度依存性に抑制した。また、本剤はヒトリンパ管内皮細胞の遊走を抑制した 29),30),32)。
18.2.5 本剤は、 in vivo試験において、エマルジョン化した不完全フロイントアジュバント誘発性リンパ管内皮腫瘍、マウス血管内皮腫細胞移植、マウス静脈奇形及びマウス転移性膵臓腫瘍細胞移植の各腫瘍モデルで、本剤を経口もしくは腹腔内投与したとき、これらの動物モデルでみられた腫瘍細胞の増殖を抑制した。また、本剤はこれらの腫瘍細胞のリンパ管新生や血管新生を抑制した 32)~34)。
【文献】
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